FONジャパン チェアマン 千川原智康氏インタビュー

FONジャパン チェアマン
千川原智康氏インタビュー

FONは個人のインターネット回線を解放し、世界中に無料の無線LANアクセスポイントを散りばめよう、という壮大なムーブメントだ。2006年11月に Martin Varsavsky氏が立ち上げたFONは、スペイン、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ圏をはじめ、アメリカ、日本、中国、韓国、台湾でのサービスも開始している。FONの日本での現状とこれからの展望について、FONジャパンの千川原智康氏に聞いた。(池田冬彦 2007/2)

R0010351.jpgフォン・ジャパン チェアマン 千川原智康氏

池田:FONは「サービス」ではなく「ムーブメント」だと言われますが、これはどういう意味を持っているのでしょうか?

千川原:FONは事業者が提供するような「公衆無線LANサービス」ではありません。FONは、自らのインターネット回線をFONメンバーに公開しよう、というものです。公開したFONユーザは、世界中の他のFONメンバーのアクセスポイント(AP)を無償で利用できます。 FONのAPの広がりは、ユーザの意志による自律的(コンシューマ・ジェネレーテッド)なものと言えます。

池田:つまり、APがどのくらい増えるかは、FONに賛同するメンバーがどのくらい増えるか、にかかっているのですね?

千川原:そうです。現在(2007年2月)世界で約25万人のFONユーザがおり、その数は日々増えています。最もAP数が多い国はドイツで、次いで韓国、スペイン、そして日本です。2006年12月にサービスを開始し、わずか2ヶ月でメンバー数が15000人になったことは快挙と言えます。伸び率は非常に高く、間もなく世界第2位になることは確実です。

池田:まずは大成功ですね。この要因をどうお考えですか?

千川原:理由は2つあると思います。1つは、既存の公衆無線LANサービスに対する不満、そして、スマートフォンやゲーム機など小型Wi-Fiワイヤレスデバイスの普及によるニーズの高まりです。

特に公衆無線LANサービスへの不満は大きいと思います。たとえば、ちょっと街中でインターネットにアクセスしたい、と思っても、公衆無線サービスと契約していないとサービスは利用できません。そして多くの人は、月額料金を払うほど屋外でインターネットを使っていないのです。現状は、どのサービスも伸び悩んでいると思います。

しかし、FONなら、1980円のFONソーシャルルータ(La Fonera)を購入して自宅の回線を公開さえすればFON-APが無償で利用できますし、自分も他のFONユーザのアクセスに貢献できます。この考え方に共感して頂けたユーザが非常に多かったと思っています。

R0010362.jpgFONソーシャルルータ「La Fonera」はフォン・ジャパンのECサイトと九十九電機で購入可能
pic01.pngフォン・ジャパンのホームページ

池田:確かに、ちょっと屋外でインターネットを使いたい時に、わざわざ契約をしに行くのは厳しいですね。急を要する時などは、セキュリティのかかっていないAPを探しに行く人もいますね。

眞島 :WEPやWPAが設定されていない無防備なAPをつい使ってしまう、というのは実は大変に危険な事で、そのようなAPを使っている人も、ただ乗りしようとしている人にとっても大きなリスクが伴います。

FONは、この問題を解決するための切り札となります。FONソーシャルルータは、公開用/プライベート用という2つのAPを同時に運用する、特殊な無線LAN機器です。FONユーザは公開用のAPにしか接続できず、そのトラフィックはルーティングによってLANには到達しないようになっています。公開するユーザにとっても利用者の双方にとって安全な運用ができるのです。

R0010356.jpgエンジニアリングサポートグループ 眞島宗一氏

池田;どのような活用イメージを想定されていますか?

千川原:FON-APの設置場所はパブリックスペースだけに留まりません。たとえば、駄菓子屋の軒先に設置されたFON- APに、「任天堂DS」を手にした子供達が集まってゲームをする、とか、Skypeフォンを持った主婦が商店街を歩きながら、海外出張中の夫に無料電話をする、とか、活用スタイルは無限ですね。

池田:ところで、FONの収益構造はどのようになっているのですか?

千川原:現在はFONソーシャルルータの売り上げが主なものです。このルータは弊社のECショップと「九十九電機」の店頭・オンラインショップで販売しています。

池田:海外では、FONソーシャルルータを持たない人が有償でFON-APを利用できる「ALLIEN」メンバーと、ALIIENメンバーからのアクセスチャージ(ワンデーパス)の販売額の半分を受け取れる「BILL」というメンバーシップがあると聞いていますが?

千川原:日本では現行の「LINUS」というメンバーシップのみで「ALLIEN」「BILL」のサービスは開始していません。Wi-Fiのレベニューという考えはユニークですが、日本で「BILL」メンバーになるためには、総務省に事業者として届け出る面倒が生じます。また、このサービスが必ずしもコンシューマが求めているものかどうか、引き続き検討したいと思っています。

むしろ、我々が有力視しているのがFONメンバーのための「コミュニティサイト」です。まだ検討段階ですが、マップ・オリエンテッドな魅力あるコンテンツを提供し、その上で広告収入を軸に展開を図るべく、早期の提供を目指しています。

池田:これからのFONの成功は、いかにFONのアクティブユーザを増やすかにかかっていると思うのですが、どのような方策をお考えでしょうか?

千川原:FONジャパンでは、2007年末までに75000人のユーザ(=AP)を目標としています。このために、現在九十九電機の9店舗で販売しているFONソーシャルルータの取り扱い店舗を拡大し、ECショップと共に販売体制を強化してゆきます。

また、大手プロバイダと新たな提携体制を結び、プロバイダがFONを公式にサポートしてゆく体制も整いつつあります。海外ではFONをサポートしたプロバイダの退会率が低く、しかも、他プロバイダからの乗り換えも増えている、というデータがあります。FONを正式にサポートすることは大きなメリットがある、という理解を頂けています。

池田:これからが本当に楽しみですね。

千川原:FONはムーブメントであり、いわばWi-Fi革命です。日本初上陸のサービスであるが故、公衆無線LANサービスと誤解されてしまうこともあります。私たちは、「コンシューマ・ジェネレーテッド」なFONの意義と魅力をさらに広めるため、今後も色々な活動を積極的に行っていきたいと思っています。

本稿は株式会社デジパホームページの「トレンドウォッチ」に掲載した記事を再掲載したものです。最新情報につきましては、フォンジャパンのホームページをご覧ください。 LinkIconフォン・ジャパン