インターネットの元栓ってどこ?
インターネットは世界的な公衆ネットワーク網だ。ウェブブラウザでURLを入れればどんな国のサーバーとも一発でつながる。だが、実際インターネットは日本とアメリカ、そして世界へ、どのようにつながっているのだろうか? (池田冬彦 2005/11)
実際、インターネットはどのような経路を辿り、海外のサーバに接続しているのだろうか。まだインターネット黎明期だった1994頃、筆者はさっそくインターネットアカウントを取ってアメリカの旅を楽しんでいた。「きっとどこかに『インターネットの元栓』があって、そこから海外につながっているんだろう」誰かとそんな話をしていた事を思い出す。
インターネット経路を地図上に表示する「VisualRoute」というソフトを使い、日本から「www.yahoo.com」への経路を表示させてみると、日本から太平洋を渡って北米大陸の西海岸に到達し、そこからカリフォルニアのパロアルトに向かっている様子が表示される。日本とアメリカは太平洋下の「海底ケーブル」で結ばれているのだ。
Visual Ware社の「Visual Route 2006」を使ってアメリカまでの経路を地図上に表示してみた。右が日本、左がアメリカだ
しかし、海底ケーブルは日本のどこから海底に向かって伸びているのだろうか。どのようなケーブルが使われているのだろうか。そんな疑問を抱えて訪ねたのは、東京・飯田橋のKDDI。早速、ネットワーク技術本部国際ネットワーク部の戸所氏と成松氏にお話を伺った。
現在、KDDIが所有権を持つ海底ケーブルは多数。そのうち、アメリカと日本とを結ぶ主な海底ケーブルは「第5太平洋横断ケーブルネットワーク(TPC- 5CN)」と「ジャパン-USケーブルネットワーク(J-US CN)」「チャイナ-USケーブルネットワーク(C-US CN)」の3つだ。
日本近海に張り巡らされた海底ケーブル。ものすごい数だ。沿岸部では船の錨や漁業活動によって切断されてしまうことも多々あるようだ
使われている海底ケーブル。右の太いものが近海、浅瀬用の頑丈なもの。左に行くに従って深海用のケーブルとなる
ちなみに、TPC-5CNの海底ケーブル基地(海底線中継所)は神奈川県の二宮と九州・宮崎にある。この中継所は、海底に延々と伸びるケーブルを陸揚げし、地上のネットワークセンターと接続する場所だ。長年の謎だった「インターネットの元栓」とは、日本沿岸に点在する、海底線中継所のことだったのだ。
貴重なお話を賜ったKDDI国際ネットワーク部の戸所弘光氏と成松優晴氏。右のショウケースに入っている船は、海底ケーブル敷設の特殊船「KDDオーシャンリンク」の模型
海底線中継所へ潜入!
早速、筆者は神奈川県二宮にある「KDDI二宮海底線中継所」に向かった。地図を頼りに歩き回ると、海岸沿いの住宅街の中にそれらしき建物があった。実は、ここは日本の海底ケーブルの歴史の中で記念すべき場所だ。今から41年前の1964年、ちょうど東京オリンピックが開催された年に、日本で初めての太平洋横断ー電話用海底ケーブル(TPC-1)がアメリカまで敷設され、その陸揚げの場所となったのがこの中継所だったのだ。
1964年と言えば、ケネディ大統領が暗殺されるというショッキングな事件があった。このニュースは世界で初めて衛星中継でアメリカから映像が配信されたのだが、恐らく、各国の報道機関関係者の国際電話の通信が、まだできあがったばかりのこの中継所に殺到したことは想像に難くない。
静かな住宅街のなかにひっそりとたたずむ二宮海底線中継所
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