ネットプライバシー CASE 3:
ソフトが知らぬ間に自分の情報を・・・


 インターネットで使うWebブラウザや電子メールソフト、FTPソフトやマルチメディア関連ソフトは、ユーザーに無断で個人情報や使用動向などのデータ集計したり、これらを広告代理店やメーカーなどに送信したりはしないもの、と思われていた。こんなことをすれば、明らかに個人のプライバシーの侵害であり、大きな社会問題となるからだ。しかし、こんな恐ろしいソフトが実在することが明らかになってしまった。
 アメリカのリアルネットワークス社のソフト「RealJukebox」が、ユーザーの使用履歴データを知らぬ間にアメリカの本社サーバーに送信していたことが発覚し、大きな問題となった。このソフトはインターネットを利用して音楽を楽しむための無料のデジタル音楽管理ソフトだ。これによって、リアルネットワークス社では個々人の音楽傾向などを分析することが可能となり、さらに、同社のユーザー登録データベースと結びついていた可能性が指摘された。このデータベースには個人の氏名や住所、メールアドレスなどが記録されている。
 リアルネットワーク社では、ソフトがユーザー固有のID番号と使用履歴データを送信していた事実を認め、この情報を送信させないようにする修正プログラム(アップデートプログラム)を配布した。だが、その後、あるユーザーの指摘によって、全世界で8500万人以上が利用していた人気ソフト「Real Player6」が、ユーザー登録時に生成される個人IDを勝手に送信していることが発覚し、またもや大きな問題となってしまった。
 固有IDはReal AudioやReal Videoのソースを利用者がアクセスしたときに、全てのアクセス先に対して送信されるという。こうした仕組みは、リアルネットワーク社のみならず、提携関係にあるストリーミング放送局にとって完璧な視聴率をはじき出すことが可能だ。
 なお、Real Playerの対抗馬であるマイクロソフトのWindows Media Player7でも同様の個人IDが送信されているのだが、個人情報そのものを送信するわけではなく、固有のユーザーIDのみを送信しているという。だが、いつどのような方法でこのユーザーIDが個人情報と結びつけられてしまうのか、という不安は拭えない。残念なことに、現在のインターネット技術ではこの不安を払拭するための手段は存在しないし、日本では信頼できるプライバシー保護のための企業の監視を目的とした独立機関もない。
 リアルネットワークス社の件は、たまたま個人情報の保護を目的とするユーザーの手によって送信パケットの解析から発覚したことだが、まだまだ発覚しないインターネットソフトが埋もれている可能性は高い。

[対策] 有効な対策はない

 リアルネットワークス社の問題の焦点は、企業が「個人情報をどのように利用するか」をユーザーに明らかにせず、無断でユーザーの利用調査を行った点にある。このような問題は、発覚するまで誰にもわからない。少なくとも、ユーザーはその企業が公表するプライバシーポリシーに書かれた内容を納得の上で実名や住所、電話番号などの個人情報を提供し、それが遵守されることを「希望」するしかない。
 もっとも、プライバシーポリシーが不明確、あるいは記載されていない場合、ユーザーのとるべき行動は2つしか残されていない。それは、仮名、架空の住所などの個人情報を登録すること、あるいは、そのソフトを利用しないということだ。