SPAMメールはなぜやってくるのか


 メールボックスを開けるたびに、聞いたこともない企業や個人から「健康ダイエット」「楽して儲かるニュービジネス」などというダイレクトメール(スパムまたはジャンクメールとも呼ばれる)が届くことがある。月に1〜2通程度なら「うっとうしい」で済むのだが、月に50〜60通ものダイレクトメールを受け取ることになれば、そんな悠長な事を言っている場合ではない。
 よく、「怪しいサイトに行かなければ平気」「ホームページを持っていなければ大丈夫」、はたまた「フリーメールを使っていれば心配ない」などという人がいるが、これらは全くの迷信だ。アメリカのようなダイレクトメール大国ではない日本では、本当のダイレクトメール被害に出会う機会が少ないために、こうした迷信がまかり通っているのかも知れない。
 だが筆者は、無料サイトを利用した途端に月に数十通のダイレクトメールがやってくたという女性や、インターネットを始めたばかりなのに、なぜかたくさんダイレクトメールを受け取るという学生のなどの話を聞くにつけ、ダイレクトメールの被害が確実に広がっていることを痛感せざるを得ない。

 ダイレクトメールで疑問に思うことは「なぜ発信者は自分のメールアドレスを知っているのか?」ということだろう。もちろん、そんなメールがやってきた以上、あなたのメールアドレスがどこかへ流出していることは紛れのない事実なのである。メールアドレスは、使っている以上必ず流出するものである。その主な原因には次のようなことが考えられる。

(1)掲示板サイトから漏れる

 掲示板などに自分のメッセージを書き込むと、それだけでメールアドレス流出の原因となることがある。たとえば、「Yahoo! Japan」(http://www.yahoo.co.jp/)の掲示板では、メッセージの書き込みをするにはユーザー登録が必要となるが、ここに登録したメールアドレスは、書き込んだメッセージエリアから簡単に誰でも参照できる。また、掲示板システムによっては、メッセージにメールアドレスが表示されたり、メールタグが設けられているものもある。

[対策] メールアドレスを公開しない

 このような掲示板では、メールアドレスを非公開にできるものがほとんどだ。もちろん出会い系の掲示板を利用する場合、「たくさんメールが欲しい」と思っている人が、メールアドレスを非公開にするのはどうか?と思われる人もいるはずだ。
 しかし、今のインターネットでは「自分に都合の良いメールだけを欲しい」というわがままな要求は通用しない。メールが欲しいと思っても、好まざる相手からメールがくる確率の方が高いということを肝に銘じるべきだろう。インターネット上の交流は金銭や物品の授受などをのぞき、匿名性が高いほど安全なのだ。掲示板などで知り合ったユーザーと交流していたユーザーが「最初はいい人だったのに・・・」という話をするのを、筆者も何回となく耳にしている。
 また、フリーメールを利用するのも考えモノだ。フリーメールは無料のメールアカウントサービスで、誰でも簡単にホームページから申し込んで利用できる。このアカウントを公開しておけば、誹謗中傷メールなど悪質ないたずらメールのトラブルに巻き込まれても、利用しなければ事足りるというわけだ。しかし、登録したメールアドレスが広告主のダイレクトメール用名簿に加えられた場合、かえってダイレクトメールを増やす結果にもつながるのだ。

(2)電子メール検索サイトから漏れる

 インターネットには、メールアドレスが検索できる「電子メール検索サービス」がある。これらのサービスの多くはそのサービスに参加・登録した人の情報を、誰でも検索できるようになっている。このサービスを利用すると、さまざまなメールアドレスを簡単に入手して悪用することも考えられる。
 たとえば、「dddd E-Mailアドレス検索」(http://dddd.ne.jp/)では、登録ユーザーのメールアドレスを自由に参照できる。この情報をユーザーが「非公開」にすることも可能であるが、登録メンバーであれば非公開ユーザー宛にアドレスを知らなくてもメールを送信できるため、充分悪用は可能だ。最近では、このような犯罪やプライバシー保護の観点から、サービス自体が下火になりつつある。

[対策] 検索サイトに登録しない

 電子メール検索は便利な反面、ダイレクトメール用に抽出されたり、いたずらメールなどのトラブルの原因となっているようだ。メールアドレスを非公開にできるところが増えているものの、これでは検索サイトそのものの意味がない上、サイトによっては非公開ユーザーにWeb上でメールを送信できるものもある。トラブルを避けるために現状では登録しない方が良いだろう。

(3)自分のホームページから漏れる

 自分のホームページにメールアドレスを掲載することは、インターネット上でメールアドレスを公開しているのと同じことだ。これは、ダイレクトメールを送信しようとする業者にとって、格好の情報源となる。この情報は検索エンジンを使って「"@xxx.ne.jp"」と検索すれば、簡単に収集できるのだ。

[対策] 現状では防ぐ手だてがない

 自分のホームページに連絡先のメールアドレスを掲載しないことは、とても難しい事だろうが、これはもう防ぐ手だてがない。もしページにメールアドレスを掲載していなかったとしても、インターネットプロバイダーのホームページスペースを利用している場合は、ホームページのURLから簡単にメールアドレスが判別されてしまう。たとえば「http://www.xxx.ne.jp/~ikeda/」というホームページを持つユーザーのメールアドレスは「ikeda@xxx.ne.jp」となる。このため、有効な対策は立てられないというのが現状だ。どうしてもメールアドレスを流出させたくなければ、ホームページを公開しないという方向で考えるしかない。

(4)これまでに送信した相手から漏れる

 これにはさまざまなケースがある。たとえば、知人が複数の相手に同報メールを出そうとしてメールアドレスを流出させてしまったり、送信先となった企業があなたのメールアドレスを流出させたかもしれない。あるいは、出会い系サイトで知り合った相手が、故意にあなたのメールアドレスをばらまいているかもしれない、といった具合だ。

[対策] 有効な対策はない

 これについては、有効な対策は考えられない。ただし、本当に信用のおける相手以外には実メールアドレスは教えないことで、ある程度流出を阻止できるだろう。また、インターネット上には「プレゼント」「懸賞」などと称し、メールアドレスを取得することを目的に開設した悪質なホームページもある。メールアドレスの送信は、あくまで信用のおけるサイトでのみ行なうべきだろう。

(5)無料サービスを実施するサイトから漏れる

 一部の無料サイトでは、システム維持のために登録ユーザーのメールアドレスリストを広告主に提供しているところがある。こうしたサイトでは「利用上の注意」などのメッセージにその旨を記載している場合がある。この無料サイトには、出会い系サイトやフリーメールサービスを行なうサイト、インターネットスケジューラーやポータルサイトなどが含まれる。

[対策] サイトの注意書きを確認する

 利用にあたってはサイトが提供する情報に注意し、これに同意の上で利用するべきだろう。ただし、このような記述のないサイトがメールアドレスを流出させた場合、ユーザー側では対処できない。

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 このように、メールアドレス流出にはさまざまな原因が考えられる。こうして流出したメールアドレスは、メールアドレスブローカーの手によってまとめられ、膨大なメールアドレス名簿として完成する。こうした名簿はダイレクトメール用アドレスとしてさまざまな業者、個人に販売されるのである。