急増するiモードのいたずらメール
このところ、iモードメールなど携帯電話のメールに「電話番号が埋め込まれた」いたずらメールが送信されるトラブルが後をたたない。
2000年6月末から7月にかけて「度胸がある奴は爆弾をプッシュ」「風邪気味の彼女の飲みかけたコーヒーを飲むか」などといういたずらメールが大量に送信された。このメール、アイコンや文字を選ぶと「110番」「119番」にPhoneTo機能で即座に電話をかけてしまうもので、熊本、福岡県警にはこれが原因と思われる110番通報が一日200〜400件にも上ったという。
また、この手口をまねたいたずらメールも急増している。実は、筆者のところにもそのようなメールがやってきたことがある。その内容は「ワタシハダレ?090xxxxxxxxニデンワシテ マキ」というものだった。もちろん、その電話番号が送信者のものでないことは明らかだ。その送信元は「iMS」、つまりNTTDoCoMoのショートメールサービスを使って送信されたものだった。ショートメールサービスを使って送信されたメールは、返信することも、発信者を特定することもできないのだ。
ショートメールはNTTDoCoMoの携帯電話やパソコンからだけでなく、一般の電話から「NTTDoCoMoショートメールセンター」に電話して、プッシュボタンで文字に対応するキーを送出すれば自由にメッセージを送信できる。つまり、ショートメールを使えば、何処の誰だか相手に知られずに、いたずらをしたい電話番号の相手にメールを出すことができるのだ。
また、ショートメールサービスを使ってiモードにメールを送信する際、送信先のユーザーがメールアドレスを「090xxxxxxxx@docomo.ne.jp」ではなく「yamada@docomo.ne.jp」のように変更していても、単純に相手の電話番号を指定するだけで送信できてしまう。つまり、メールアドレスを変えたからといって、全く安心できないのだ。現在、NTTDoCoMoでは、この手のいたずらメールを受信しても本文中に書かれた電話番号に電話しないよう呼びかけているが、システム的ないたずらメール対策は全く講じられておらず『良識に訴えるしかない』としている。しかし、対策が取られなければこのようないたずらメールによって、ユーザーは無用なメール受信に割く時間と、受信時のパケット費用という無用な負担を背負うことになる。
また、メールアドレス変更ソフトが悪用されることもある。この種のソフトは送信元のメールアドレスを自由に変更できるので、「全く架空のメールアドレス」を発信元としてメールを送信することができる。受信した人は一見その偽造したメールアドレスからきたメールだと勘違いすることになる。
もちろん、通常のメールソフトを使ってFrom:ヘッダを偽造して送信することも可能だ。方法は敢えて記さないが、From:ヘッダをチェックしないISPの場合、送信者が自由にアドレスを変えてメール送信が可能となってしまうのだ。
このような方法でiモードに送信してしまうと、携帯電話からはヘッダー情報が見えないので、匿名メールとして悪用できる。現在NTT DoCoMoをはじめとする各電話会社では、このようなヘッダー情報を持つメールを遮断する措置はとられていない。また、今後はいたずらメールだけではなく、iモード向けのダイレクトメールの被害も充分予想される。もし大量の不要メールを送られた場合、利用者の料金負担はさらに大きなものとなるだろう。
このような被害は「利用者の良識に訴える」ことで止められるものではない。NTT DoCoMoが「発信者を特定できないメール」を配信不能にするようにシステムを変更しなければ、このような事件はこれからどんどん増えるだろう。そのような事態が深刻化する前に、日本最大の移動体通信キャリアとして責任を早急に全うしてもらいたいものだ。