ネット詐欺の傾向


 このところオークションサイトや掲示板を利用した詐欺事件が急増している。2000年4月までに「警視庁ハイテク犯罪対策総合センター」に寄せられたオークション関連のトラブル相談は70件を超え、全国の所轄警察署への被害届の数は2000年に入ってから増える一方だという。2000年1月〜7月までに検挙された詐欺事件は20件を超えているものの、これは全国的に展開する詐欺事件のほんの氷山の一角に過ぎない。
 これまでに検挙された詐欺犯人は意外にもプロではなく、学生や会社員、主婦、フリーターなどがカネ欲しさに犯行を行ったケースが目立つ。オークションサイトや掲示板では、こうしたアマチュア詐欺師による犯行が急増している。もっとも「アマチュアであるが故に検挙されている」という見方もできるのだが、その被害総額はとてもアマチュア級とは思えぬ何百万円クラスというものもあるから、決して油断できない。

 2000年2月22日、Yahoo!オークションで「中古パソコンを売る」と偽って金を騙し取っていた札幌の会社員(27歳)が札幌中央署に逮捕された。この逮捕劇は3人の被害者が協力して犯人の自宅を突き止めて警察に連行するという異例のもので、その生々しい様子は同行した日本テレビ系列のスタッフによって撮影され、「ザ・スクープ」という番組で全国に放映されたのでご覧になった人も多いだろう。
 犯人は自宅から遠く離れた香川県の存在しない住所を自宅住所と偽り、香川県内の銀行に代金を振り込むように指示していた。しかし、いつまで経っても商品が届かないことと、連絡が取れなくなったことから詐欺とわかり、男の携帯電話の番号から住所をつきとめ、逮捕に至っている。
 詐欺被害のほとんどは「送金しても商品を送らない、または偽商品を送りつけ消息を絶つ」というものだ。そして犯人は正体がばれないよう(1)架空の名前で書き込む(2)架空名義の銀行口座、郵便口座を作る(3)プリペイド式の携帯電話を使用するなど、さまざまな隠蔽工作を試みる。中には、偽名でインターネットプロバイダーに加入したり、インターネットカフェを使ってメールのやりとりを行なう犯人もいる。
 これまでに検挙された事例のほとんどは、このような隠蔽工作のいずれかに不備があったために検挙につながっている。たとえば、実名実在の住所で申し込んだ携帯電話を連絡用に使っていたり、利用していたインターネットプロバイダーを実名で契約しているなど、アマチュア詐欺師らしい側面ものぞかせている。
 しかし、このような詐欺師の存在はオークションや掲示板では一見して見破ることは不可能だ。顔の見えないネット上の個人売買では、特に多数の一般のユーザーに埋もれているために、なかなか「怪しい人」が浮上してこないのが現状だ。