恐怖の国際電話/Q2自動接続ソフト
大都市の繁華街には、必ずといって言いほど「風俗店」がある。風俗店には通常の「優良店」と、世にも怖ろしい「ぼったくり店」の2種類があることはご存じだろう。ぼったくり店はカモが入店するや否や有り金全部を巻き上げてしまうのだ。ぼったくり店を外側の店構えから見分けることは大変に難しい。どの店も同じような看板を掲げ、優良店と隣り合わせで営業しているからだ。
インターネットのアダルトサイトにも、こんなぼったくり店に似た危ない店が急増している。ネットでは実際の店以上に、巧みなシステムを使って利用者に法外なカネを払わせようとする。誘惑に負けてとんでもない被害に遭わないよう、しっかりと傾向と対策を考えておこう。今、アダルトサイトのトラブルで最も多いのが、身に覚えのない国際電話料金が請求されるというものだ。これは「クレジットカード、銀行振込など面倒な手続きは一切不要」「日本国内では見られない画像を専用ソフトでお見せします」などと言葉巧みに誘導し、「クリック」という文字やアイコンをクリックすると突然「xxxx.exe」という実行ファイルのダウンロードが始まる。実は、これが国際電話に発信するためのソフトなのだ。
ソフトを実行してしまうと、知らぬ間に国際電話に発信してアダルトコンテンツを表示する。 国際電話の接続先は、ロシア、ガイアナ、モルドバ、イスラエル、セーシェル、アメリカなどで、いずれの方法も一見して国際電話回線に発信しているとは気が付かない。なお国際電話は6秒単位で課金される。ロシアに接続した場合10分間の利用で約2700円、セーシェルの場合約3100円の通話料(いずれもKDD昼間時間帯)がかかるから、調子に乗って長時間接続していると何万円もの請求書が届くこともある。国民生活センターにはこのような苦情が年々増え続けており、1999年には400件もの相談があったという。
なお、「国際電話は電話会社と契約していないと使えない」と誤解している人もいるようだが、NTTの電話加入契約をすると国際電話会社とも自動的に契約することになっている。このため、電話番号の先頭に「001」「0061」などを入れて発信すれば、NTT電話加入者は国際電話をかけられる。一度でも発信すれば、利用者がNTTに登録している連絡先に、国際電話会社から請求書が郵送されるという仕組みだ。
この「国際電話を勝手にかけるようにする」ソフトには2つの種類がある。1つは国際電話回線に発信して接続させ、Webブラウザでアダルトコンテンツを表示させる「通信ソフト」系、もう1つはWindowsの「ダイアルアップネットワーク」の設定を国際電話回線に接続するように設定してしまう「設定プログラム」系だ。(1)国際電話通信ソフト
通信プログラムでは「EZ-Dial」「Helena Access」などのソフトが有名だ。このソフトを起動すると、ウィンドウにはサービス内容の説明が表示される。EZ-Dialの場合は最後の方に「私はこのサービスが国際電話料金によって接続時間に対して課金されることを理解しています」という文面があるのだが、それに気が付かずに「同意/ここをクリックして今すぐ接続!!」というボタンをクリックすると、国際電話回線で接続していることを知らずにサービスを利用するハメになる。
もっとも、このソフトはその旨を表示しているという点でまだ良心的だ。ソフトによっては解説文が全て英語で書かれていたり、または、全く書かれていなかったりするものもあるので、充分な注意が必要だ。
なお、このようなソフトの中には国際電話ではなく、NTTのダイヤルQ2回線に電話をするソフトもある。この場合は通話料とは別に10分間の利用で1000円(6秒ごとに10円)の情報料が徴収され、翌月のNTTの請求書に加算される。なお、ダイヤルQ2用の通信ソフトにはWindows用とMac用がある。(2)設定ソフトによる接続
勝手にダイアルアップの設定を変更してしまうことで有名なソフトに「vivian.exe」というものがある。これを起動させると通信ウィンドウが表示され、国際電話回線を使って通信が始まる。この動作だけでは一見、(1)の国際電話通信ソフトと同じように見える。
だが、実は動作中に新しいダイアルアップ接続をバックグラウンドで作成し、それを「標準のインターネット接続」に変更してしまうのだ。このアクセスでも今までと同じようにインターネットが利用できるため、通常のプロバイダーに接続しているつもりで、実は国際電話回線に発信している・・という悪質きわまりないソフトだ。ユーザーが気がつかなければあっという間に何万、何十万円という国際電話料金が加算されてしまう。
もちろん、このような変更が行われたかどうかは、「マイコンピュータ」の「ダイヤルアップネットワーク」を開けばすぐにわかる。「vivian2」などと自分が作成したことのない新しい接続が作成されているはずだ。[対策] 怪しい実行ファイルをダブルクリックしない
不審なダイアルアップ接続を削除する
国際電話の利用を休止するまず、アダルトサイトから何か実行ファイルをダウンロードしても、それがどのようなソフトなのかを理解せずにダブルクリックして実行しないことだ。もし、実行してしまったら、不審なダイヤルアップ接続が作成されていないかどうかを確認しよう。
「スタート」→「設定」→「コントロールパネル」を選び、「インターネットオプション」をダブルクリックする。次に「接続」タブをクリックして、ダイヤルアップの設定のリストを確認する。ここに「vivian」など見たこともない不審な接続があったら、これを選んで「削除」をクリックする。これで国際電話を勝手にかけるダイアルアップ接続は削除される
。 なお、全く気が付かずに国際電話回線に発信し続け、国際電話会社から高額な料金が請求された場合でも、その支払いは拒否することはできない。日本の電話サービスでは、たとえ他人が使った通話でも加入契約者が支払いの義務を負うことになっているからだ。KDDではトラブルが多発していることから、利用料金が一気に5000円を超えたり過去の通話パターンと異なると判断された通話が認められた場合、直ちに利用者に請求書を送付するようにしているという。
しかし、最も有効な防衛手段は、利用者の回線の「国際電話利用契約の休止」を申し込むことだろう。この申請は「国際電話不取扱受付センター」で受け付けており、KDD、IDC、DDI、日本テレコムの4社を選択できる。なお、この申請によって国際電話回線に発信できなくなるが、海外からの着信は受け付ける。国際電話不取扱受付センター
0120-210-364 (受付時間:平日9時〜17時まで)なお蛇足だが、最近ではアダルトサイトではない「出会い系」などのアミューズメント系サイトでも、この手のソフトが横行しているという。プログラムのダウンロードについては充分注意したいものだ。